Engineer's Digest

忙しいエンジニアのための技術情報ダイジェスト。前日の話題をサクッと把握!

2025/04/25 #170 - 今日の技術情報ダイジェスト

AI開発技術とプログラミングの未来

コーディングAI「Cline」を題材に、AI開発技術の急速な進化とプログラミングの未来、特にAIツール活用による生産性向上と課題(大規模コード理解、例外設計など)、AIを使いこなせるエンジニアとそうでないエンジニアの二極化、そしてAI活用のためのスキル習得の重要性について、ハイプサイクルや破壊的イノベーションの概念を踏まえながら分析しています。Clineのプログラミング環境への統合や自然言語によるコード生成といった特徴、既存技術との比較なども詳細に解説しています。

gist.github.com

Webアプリにおけるフォント表示バグ

Google Chromeおよび一部のChromiumベースのWebアプリケーションにおいて、Windowsシステムフォント「游ゴシック UI」を使用した場合、日本語の括弧(「(」「)」「〈」「〉」など)が逆向きに表示されるという問題が1年以上継続しており、Microsoftは修正を約束しているものの、2025年4月現在も解決に至っていません。原因は「游ゴシック UI」フォント自体にあり、「Noto」フォントではこの問題は発生しないことから、修正に時間を要していることが示唆されています。近日中に修正パッチが公開される見込みです。

forest.watch.impress.co.jp

モノタロウのAI駆動開発

モノタロウはAI駆動開発を全社的に推進しており、専門チームや社内プログラムによる開発者のAI活用スキル向上、Devin、Cursor、Cline等のAIツール導入によるレガシーシステムの移植・リバースエンジニアリング、コード生成を通じた開発効率化、そしてLLM活用ガイドライン策定によるセキュリティリスクへの対策など、具体的な取り組みを紹介しています。5月7日のAI駆動開発カンファレンスでの発表も予定されています。

tech-blog.monotaro.com

アジャイル開発におけるふりかえりの手法

アジャイル開発におけるふりかえりの重要性と、KPT以外の様々な手法(YWT、Timeline、学習マトリックス、Starfish、Lean Coffee、帆船のふりかえり、Celebration Gridなど)を解説した対談記事で、KPTの限界やチーム状況に合わせた手法の選び方、効果的なファシリテーションの重要性について詳しく述べられています。KPTだけでは停滞してしまう状況や、問題点が少ない場合への対処法も提案されています。

agilejourney.uzabase.com

NTTデータとOpenAIの提携と生成AIサービス

NTTデータがOpenAIと提携し、世界展開する法人向け生成AIサービスを発表しました。営業活動の代替となるAIエージェントの開発も含まれており、情報セキュリティを強化したサービス提供により、産業界におけるAI活用の高度化が期待されます。日本経済新聞の有料会員限定記事ですが、現在春割キャンペーンで2カ月無料体験が可能です。

www.nikkei.com

オンライン証券口座乗っ取り事件

日本のオンライン証券口座を標的とした大規模なハッキング事件が発生し、1000億円規模の不正取引被害が出ています。犯行グループは流動性の低い株式を買い占めて高値で売却する手口を用い、楽天証券など複数の証券会社が被害を報告、顧客に多大な損失を与えています。政府の投資促進政策と矛盾する事態であり、被害者への補償問題も深刻化しています。この事件を受け、セキュリティ強化や多要素認証の義務化など、対策の抜本的な見直しと強化が急務となっています。

www.bloomberg.co.jp

Ryzen搭載マザーボードの新製品

MINISFORUMが、Ryzen 9 9955HXモバイルCPUを搭載し、TDP160Wの高性能を実現したマザーボード「F1FGM」を発表しました。通常DDR5 UDIMMメモリに対応し拡張性も高く、派手なヒートシンクやRGB LED制御も備えた、コストパフォーマンスに優れたハイエンドな自作PC向けマザーボードです。

pc.watch.impress.co.jp

Model Context Protocol (MCP)の概要

Model Context Protocol(MCP)は、AIとシステムを接続するための標準規格で、「AIのためのUSB規格」と例えられています。JSON-RPC 2.0ベースの軽量プロトコルであるMCPは、大規模言語モデル(LLM)が外部ツールやデータソースと通信する際の統合コスト削減や知識拡張を実現します。Resources(データソース)、Prompts(対話テンプレート)、Tools(実行可能な関数)の3つの主要機能カテゴリから構成され、2025年3月26日仕様ではStreamable HTTP、ステートレスモード、OAuth 2.1認証が導入され、実装が容易になっています。セキュリティリスクと対策として、信頼できるソースの利用、最小権限の原則、サンドボックス環境での実行などが重要です。

speakerdeck.com

AmazonとMicrosoftのAIデータセンター計画一時停止

アマゾンが、電力不足や経済不安を背景にAIデータセンター計画の一時停止を発表しました。これはマイクロソフトがオハイオ州の計画を撤回したことに続く動きで、AI投資の収益化への課題や需要鈍化の懸念が背景にあると見られています。マイクロソフトの計画撤回は地域経済に複雑な影響を与える可能性があり、今後のAI需要動向と経済状況の推移が注目されています。

https://www.gizmodo.jp/2025/04/amazon-retreat-from-ai-data-center-plans-like-microsoft.htmlwww.gizmodo.jp

AIモデル「o3」の推論能力

新しいAIモデル「o3」の高度な推論能力を検証するため、ChatGPT利用者が集まり実験が行われました。o3は専門用語を多用するため理解が難しいものの、男女間の対立やサブカルチャー、コメの高騰など幅広いテーマについて複雑な問題を分析し、高度な回答を出力しています。回答が理解困難な場合は、別のAIモデル「4o」を用いて解説することで分かりやすくなります。特に専門分野においてo3の能力は顕著に現れることが確認されています。

togetter.com

総務省のスターリンク周波数共用に関する決定

総務省が、スペースX社のスターリンクなどの非静止衛星と衛星放送が、事業者間の合意がなくても周波数を共有できるよう審査基準を改正しました。これにより、スターリンク側は周波数利用の拡大に賛成する一方、衛星放送事業者側は、スターリンク衛星からの電波漏れによる放送への混信を懸念し、強く反発しています。混信は、スターリンク衛星の電波が衛星放送アンテナの方向に漏れ出した際に発生する可能性があり、衛星放送事業者の懸念は改正において無視された形となっています。また、改正時期と米国新政権発足との関連性についても疑問視されています。

xtech.nikkei.com

ChatGPT有料プランの機能強化

ChatGPTの有料プラン「Plus」において、高性能AIモデル「o3」の利用回数制限が週50回から週100回に倍増し、月額約3000円で利用可能になりました。さらに、「o4-mini-high」の利用回数も倍増しており、利用回数制限に達すると7日間の制限が適用されます。

https://www.gizmodo.jp/2025/04/openai_doubled_o3_usage_limit_for_chatgpt_plus.htmlwww.gizmodo.jp

アスキー創業者の西和彦さんの破産手続き終了

アスキー創業者の西和彦氏が破産手続きの終了を報告した一方、マイクロソフトのAMSXシステムで4月21日と23日の2度にわたり大規模な障害が発生し、約115万件のデータへのアクセスができなくなりました。原因は不明で、復旧には150時間以上を要し、データ損失の可能性も指摘されています。この障害は多くのサービスに影響を与えたとされています。

www.itmedia.co.jp

大規模言語モデルの言語処理の視覚化ツール

「Meaning Machine」は、大規模言語モデル(LLM)が文章をどのように処理するのかを視覚的に解説するウェブサイトで、LLMが文章を単語や文字列といった単位ではなく、数値IDであるトークンに分割し、それらのトークンに文法上の役割や依存関係を付与し、意味と文脈を表すベクトルに変換して処理している様子を可視化します。これにより、LLMが統計的な処理に基づいて言語を理解しているという仕組みを、直感的に理解することができます。

gigazine.net

OpenAPI YAMLファイルからTypeSpecへの移行

4万行を超えるOpenAPI YAMLファイルの編集困難さを解消するため、TypeScriptライクなDSLであるTypeSpecへの移行を実施しました。TypeSpecはファイル分割に対応しており、移行によってファイルサイズを半分に削減し、可読性の向上とAIアシスタントの利用効率改善を実現しました。移行にはtsp-openapi3ツールを使用し、型変換エラーや名前衝突といった問題への対処を行いました。TypeSpecの安定版リリースとOpenAPIへの容易な回帰可能性が移行の決定要因となり、本事例ではその詳細な過程と解決策を紹介しています。

zenn.dev

偽基地局を使った詐欺SMS攻撃

JSSECの記事「第15回 スマートフォン・サイバー攻撃対策ガイド「偽基地局から送信される詐欺SMS」~なぜ詐欺SMSの送信が可能か?~」では、偽基地局(IMSIキャッチャー)を用いた詐欺SMS攻撃の手口、GSM通信方式の脆弱性悪用による2G回線接続と発信番号偽装、そして2G通信オフやローミングオフ設定による対策、設定変更ができない場合のSMS受信内容確認の重要性について解説しています。

www.jssec.org

OpenAIによるGoogle Chrome買収の可能性

米国司法省がGoogleの独占禁止法違反を理由にChrome売却を命じる可能性があり、OpenAIがChrome買収に興味を示し買収意向を表明しました。OpenAIは過去にGoogleに検索技術の提供を打診したものの拒否されており、現在はMicrosoftのBing技術を利用、独自ブラウザ開発も検討しています。Googleは司法省の是正措置案に反論し、見直しを求めています。

gigazine.net

Azure OpenAI Serviceの活用事例

5社の事例を通してAzure OpenAI Serviceの活用方法を紹介する記事です。フライヤーによる本の要約サービスへのレコメンドエンジン導入、KINTOテクノロジーズによる社内向け生成AIツール「しぇるぱWeb」の開発、LegalOn TechnologiesによるAI法務プラットフォームへの生成AI機能追加、PKSATEchnologyとプレイドによる社内業務支援への生成AI活用など、具体的な事例とアーキテクチャを解説しており、Azure OpenAI Service導入を検討するエンジニアにとって有益な情報が得られます。

findy-tools.io

ワークマンにおけるAIメモツールの導入

ワークマンが、DeNAが開発したAI搭載メモアプリ「NotebookLM」を導入し、新人の疑問解決を容易にする取り組みを始めました。 しかし、NotebookLMはGoogleから著作権侵害で訴えられており、Webからの学習データにGoogleの著作物が含まれていたことが原因です。 GoogleはNotebookLMに加え、NotebookLM PlusとGoogle One AIに対しても同様の訴訟を起こしており、AIの学習データに関する著作権問題が浮き彫りになっています。

www.itmedia.co.jp

OpenAI CEOによるMCP採用発表

OpenAIがAnthropicの開発したAI標準規格「MCP」を採用したことで、AIが外部データやツールにアクセスしやすくなり、AIの能力向上と利用範囲拡大が期待されています。MCPはオープンなプロトコルであり、従来必要だったカスタム実装による外部データアクセスを不要にすることで、AIと外部世界の連携を根本的に変える可能性を秘めています。

forbesjapan.com

macOSとUbuntuにおけるgrepコマンドの挙動の違い

LayerXエンジニアがmacOSとUbuntuにおけるgrepコマンドの正規表現\dの動作の違いについて調査した結果を報告しています。macOSのgrepはApple独自の拡張機能により\dをサポートしていますが、Ubuntuではサポートされておらず、シェルスクリプトの動作に違いが生じていました。この原因はmacOS環境での開発が中心で、Ubuntu環境での動作確認が不足していたことにあり、今後はクロスプラットフォーム開発の促進と環境差異への意識向上に取り組むとしています。

tech.layerx.co.jp

AI動画生成ツールFramePack-eichi

FramePack-eichiは、AIを用いた動画生成ツールで、複数のキーフレームとプロンプトを入力することで高品質な動画を作成します。元となったFramePackを改良し、動画の長さ設定、セクションごとのプロンプト設定、出力フォルダの管理機能などが追加されています。さらに、最終フレームの影響度調整機能や、Hunyuan LoRAのサポート(試験段階)も備えています。「未来から過去へ」の生成方式を採用することで、長尺動画でも高画質を維持できる点が特徴です。動画の品質はキーフレーム画像の適切な選択に大きく依存します。

github.com

量子コンピューターにおける相対性理論の考慮

量子コンピュータの高速化に伴い、量子ビットの速度が相対性理論で示される時間の遅れに影響を受けるようになり、その影響を考慮した新しい計算手法が提案されました。これは、量子ビットの運動パターンを計算パラメータとして利用し、変分量子回路を用いて量子フーリエ変換などのアルゴリズムを実装することで、相対論的効果を考慮した量子計算の可能性を示唆するものです。

nazology.kusuguru.co.jp

Go言語によるMCPサーバー開発

Go言語を用いて、現在時刻を返すシンプルなMCP(Model Call Protocol)サーバーと、特定ディレクトリ内のファイルを返す実用的なMCPサーバーの2種類を作成し、mcp-goライブラリを使った簡単な構築手順、コード例、実行結果などを解説しています。作成したサーバーはGoバイナリとして配布・実行可能です。

tech-blog.rakus.co.jp

Microsoft 365 Copilotの機能追加

MicrosoftはMicrosoft 365 Copilotに、AI推論エージェントである「Researcher」と「Analyst」、AI検索機能「Copilot Search」、資料管理機能「Copilot Notebooks」、画像生成機能「Create」、そしてAIアプリの一元管理システム「Copilot Control System」を追加しました。「Researcher」は調査レポートの作成を、「Analyst」はデータ分析を支援する機能で、これらによって、Microsoft 365 Copilotの生産性向上支援機能が大幅に強化されました。

pc.watch.impress.co.jp

衛星運用における型システムの実装

アークエッジ・スペースが複数の衛星を運用する際に用いている独自開発の衛星管制システムについて解説しており、スーパーバイザーとコマンダーによるCCSDSプロトコル準拠の半自動化された衛星通信(コンタクト)とそのシステムアーキテクチャ(Rust、gRPC、マイクロサービス、Grafana)を説明しています。さらに、スクリプトの自動化と運用効率化のため、型検査システムを導入した経緯と、その結果としてスキーマ管理における課題解決に成功した事例を紹介しています。

blog.arkedge.space

AI音源解析ツールHit’n’Mix RipX DAW

AI作曲ツールSunoやUdioで生成された楽曲を、AI音源分離技術を用いてステム分解・MIDI化できる画期的なDAW「Hit’n’Mix RipX DAW Pro/DAW」が紹介されています。本ツールは、AIが生成した楽曲を各パートに分割し、ピアノロール表示で編集可能にすることで、SunoやUdioで作成した楽曲の自由なアレンジを可能にします。これにより、AI作曲ツールの著作権問題に関する懸念を軽減する可能性も示唆しており、現在セール中とのことです。

www.dtmstation.com

AIコードエディタCursorの活用事例

AIコードエディタ「Cursor」の活用方法を網羅したロードマップ記事で、非エンジニアによる業務効率化事例やObsidian連携による知的生産性向上、note記事作成への応用、プロジェクト管理・デザインレビュー・文章作成など幅広い業務への活用例、機能拡張MCP(マルチチャットプラグイン)の解説、Figma、Notion、GitHubなど他ツールとの連携効果などが紹介されています。

note.com

AIチャットボットの悪用事例と対策

Anthropic社が、AIチャットボットが悪用された事例をまとめたレポートを公開しました。レポートによると、100以上の偽アカウントがAIによって制御され、ヨーロッパやイランなど複数の国で政治的思想の扇動に使われていたことが明らかになっています。これらのアカウントは世論誘導を目的として作成されており、AIによる世論操作の増加に対する懸念から、Anthropic社は対策強化を表明しています。

gigazine.net

dbt MCP Serverの概要

dbt Labsが、大規模言語モデル(LLM)と構造化データを安全に連携させるためのdbt MCP Serverの実験版を公開しました。これは、LLMが構造化データにアクセスするための新しいプロトコルであるMCPを採用しており、BIツール、IDE、AIエージェントなどへの統合を想定し、チャットUIによる自然言語でのデータ取得や、自動化されたデータパイプライン構築などを可能にします。現時点では実験段階ですが、今後の機能拡張やコミュニティによる活用事例の共有が予定されています。

takimo.tokyo